旅とコーヒータイムの親和性

キャンプではなぜかコーヒーを飲みたがる人が多いような気がする。

キャンプ道具では、コーヒーを淹れるためのものがたくさんある。

たとえばこれ。コーヒーを飲むための道具、パーコレーターだ。これを家で使っている人は少ないと思う。もっぱらアウトドアに用いられるコーヒー抽出道具だ。

もっと簡単にインスタントコーヒーでもいい。あれはゴミが出なくて非常に便利だ。

思い返してみれば、キャンプだけでなく、ツーリングでもやたらコーヒーを飲んでいる人の方が多いように感じた。ライダーのたまり場で缶コーヒーを飲んでいる人はよくいるが、紅茶を飲んでいる人はあまり見ないように思う。

もしかしたら、「旅をする」という行為がコーヒータイムと親和性が高いのかもしれない。なぜなのだろうか。

旅とコーヒータイムの親和性①覚醒作用

コーヒーにはカフェインという覚醒作用のある物質が入っている。加えて、切れ上がるような苦さがはっと目を覚まさせる。

私も何度か経験した。同じ景色の連続する道を走っている時、缶のブラックコーヒーをぐいっと煽って、頭の嫌なぼんやり感を飛ばしたこともある。

旅は作業の連続だ。キャンプなら、一つの作業が終われば次の作業が待っている。ツーリングなら、一つの目的地につけばまた次の旅が始まる。これらの連続は刺激的な場合もあるが、刺激に慣れてしまえば退屈さが訪れる。

コーヒーは退屈さに化学的・味覚からの覚醒作用をぶち込み、強制的に感覚をリセットする。そして、また新しい刺激を鮮やかに受け入れることができる。いわば、コーヒーは感覚のチェイサー(酒を飲むときに口直しをするための水)なのかもしれない。

旅とコーヒータイムの親和性②手軽さ

日本では紅茶とコーヒーのどちらが入手しやすいか。間違いなくコーヒーだと思う。

全国どこでも自販機さえあればだいたいコーヒーは置いている。しかも、最近は缶コーヒーもなかなかおいしくなってきた。どこにでもあるのだから飲まないわけにはいかないだろう。

淹れ方も多種多様で良い。手間をかけたければ、ロースターで焙煎から始めるのも良い。もっと楽をしたいなら、缶やインスタントだって豊富だ。コンビニに行けば、缶コーヒーより安い値段で挽きたてのコーヒーが飲める。

どんなところに何があるのか予想のつきづらい旅では、常用の嗜好品にも入手の容易さが求められる。コーヒーはまさに旅人にうってつけだ。

旅とコーヒータイムの親和性③コーヒーを飲むことは旗を立てる行為

コーヒーは旅の道中でもよく好まれるが、旅の到達点でもよく飲まれている。

①で述べたように、コーヒーには覚醒作用がある。脳を強制的にリフレッシュさせ、新たな刺激を受け入れさせる準備をする。これを旅の目的地で行うことに意味はあるのだろうか。

私はあると考えている。様々な考えをいったんシャットダウンさせ、「私はここに来たぞ」という事実と感情を存分に享受する。冒険家が旅路の果てに旗を立て、一息つく行為に通じるものがないだろうか。

別に到達した達成感を得るだけならコーヒーはいらないのだ。しかし、「到達する前の自分」「到達した後の自分」を明確に分けるにはコーヒーを飲むという行為はうってつけだ。コーヒーは合間に飲む感覚のチェイサーでもあるが、勝利の美酒でもあるのだ。

旅とコーヒータイムの親和性④再現性のなさ

これはコーヒーを自分で淹れる人に限った話になる。

だいたいズブの素人が淹れるコーヒーは味にばらつきが生じる。

まだフレンチプレスが使えればいいのだが、なかなかキャンプやツーリングにフレンチプレスを持っていく人は少ないだろう。だいたいパーコレーターかハンドドリップだと思う。これらの淹れ方はかなりムラがある。

淹れる時、淹れる人によって味が異なるコーヒー。

旅も似ていないだろうか。同じ場所に行ったとしても、人によって感じ方が違う。同じ人であっても、同じ場所を訪れて生じる感情はその時によって違う。

旅もコーヒーも再現性がないのだ。だからこそ、その一瞬が尊い。一瞬を目に焼き付け、鼻で嗅ぎ取り、舌で感じたくなる。旅先でコーヒーを淹れることは、その時しかない特別な時間にさらに付加価値を与える行為なのだ。

さあコーヒーを飲もう

コーヒーは旅の区切りであり、旅の到達であり、旅に特別を与える。

なんだかコーヒーの話をしていたらコーヒーが飲みたくなってきた。次のキャンプではどんな豆を淹れようか。

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